コラム
印刷物と同じ見た目をPCやスマホに再現できるPDF。
セキュリティがかかっていなければ、
閲覧だけでなく、文字や画像を挿入・削除するといった編集も可能です。
最近では、「急を要する」「元データが手元にない」などの理由で、
PDF上で印刷用データの修正を行う機会も増えてきました。
しかし、どのような場合でも有効な方法というわけではありません。
A社様は、製品の特長や仕様をまとめたデータシートのPDFをWebサイトで公開しています。
今回、それら全部を少しだけ変更したいというご相談を受けました。その数148点。
複雑な変更ではなかったので、コストを抑え時短で済ませたいと、お客様は当初PDF上での修正を望まれていました。
前述のように、PDF上でも簡単な修正は可能です。
しかし、データシートのように今後改訂される可能性があるものにはお勧めできません。
元データを古いままにしておくと、PDFでどこを修正したか忘れてしまい、次の改訂時に内容が先祖返りしてしまう恐れがあるからです。
そこで元データについてお尋ねしたところ、お客様は次のようなお悩みも抱えていることがわかりました。
・データシートは「FrameMaker※1」というアプリケーションで作られているが、扱える社員は一人しかおらず、しかも定年退職が近づいている。
・「FrameMaker」を扱うデザイン・制作会社が少なく、修正などを外部委託しづらい。
エデュプレスは、教材やマニュアルなど大量ページ冊子の豊富な実績があり、FrameMakerを扱った経験もあります。そのノウハウから、今回のご依頼に対して次の3つの方法をご提示しました。
①PDF上で修正
→応急処置的なもの。元データで最新情報を管理するほうが望ましく、できれば避けたほうがよい。
②FrameMakerで修正
→現在最良の方法だが、担当者一人での管理は続く。
③アプリをFrameMaker → InDesign※2へ変換して修正
→この機会に多くのデザイン・制作会社で使用されている「InDesign」へ変換し修正。
→今後データ管理の属人化が防げ、改訂等もやりやすくなる。
上記のようにご説明をしたところ、お客様は元データを修正する必要性に納得。
また、データシート管理の属人化からの脱却に向けて、アプリケーションの変更もご検討くださいました。
そして今回、ご予算と作業時間を考慮して、
・頻繁に使うデータ数点は③アプリをInDesignへ変換
・その他のデータは②FrameMakerで修正
をご採用いただけました。
エデュプレスでは、過去にもFrameMaker → InDesignへの変換を行った実績があります。その際に培ったノウハウを踏まえ、まず数点をサンプルとして変換し、文字化け等のエラーが起こらないかを確認してから全ファイルの作業をスタート。これにより、作業の手戻りや遅延を回避しました。
お客様からは、細やかな対応に安心できたこと、元データからの修正にもかかわらず、当初のスケジュール通りに公開できたことに感謝の言葉をいただきました。
また、データシート管理の標準化に向けて、今後さらにInDesignへ変換することをご検討されています。
※1:技術文書やマニュアルなど、構造化文書やテンプレートベースの文書作成に適したアプリケーション。
※2:冊子やパンフレットなど、ページ数の多い文書でも自由度の高いレイアウトが可能なアプリケーション。