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2026.10.26

ブランドガイドラインとは?構成要素と作り方・改善方法まで解説

ブランドガイドラインとは、企業やブランドの価値観や世界観を一貫して伝えるために、ロゴやカラー、フォント、言葉遣いなどのルールを体系的にまとめた指針です。WebサイトやSNS、広告、営業資料など、顧客との接点が多様化するなか、媒体や担当者によって表現がばらつくと、ブランドの印象や価値が正しく伝わらない可能性があります。

ブランドガイドラインを整備すれば、社内の担当者や外部パートナーが共通の基準に沿って制作や情報発信を行いやすくなり、ブランドらしさを維持できます。また、制作時の判断基準が明確になるため、業務の効率化や品質の安定にも役立ちます。効果的に活用するには、目的や構成内容を理解したうえで、実務に即したルールを策定し、継続的に運用・更新することが重要です。

ブランドガイドラインとは

ブランドの表現ルールをまとめたガイドラインのイメージ

ブランドガイドラインとは、ブランドの価値やイメージを一貫して伝えるために、ビジュアルや言葉、コミュニケーションなどのルールを体系的にまとめた指針です。ブランドマニュアル、ブランドスタイルガイド、ブランドブックなどと呼ばれる場合もあります。

ブランディングでは、WebサイトやSNS、広告、営業資料、商品や商品パッケージ、店舗など、顧客や取引先とのさまざまなタッチポイントで統一されたブランド体験を提供することが重要です。担当者や制作会社によって表現が異なるとブランドの印象が曖昧になり、認知や信頼の形成を妨げる可能性があります。

ブランドガイドラインでは、ロゴ、ブランドカラー、フォントなどの視覚的要素や写真・イラストの選定基準に加え、企業理念や提供価値を示し、言葉遣いや顧客とのコミュニケーションにおける距離感などの方針も定めます。例えば、ロゴを使用する際の余白、背景色に応じたロゴカラー、使用してはいけない表現などを具体的に規定します。

ブランドガイドラインの目的は、表現を過度に制限することではありません。社内の担当者や外部の制作会社など、ブランドに関わる人が共通の基準を持ち、ブランドらしさを維持しながら適切に表現できる環境を整えることにあります。

ブランド運営に関するルールには、ブランドデザインマニュアルやデザインガイドライン、CIマニュアルなどもあります。ブランドデザインマニュアルは、主にロゴ、カラー、フォントなどデザイン表現のルールを扱います。対して、ブランドガイドラインはデザインに加えて、企業理念や提供価値、言語表現、コミュニケーションなど、ブランド運営に必要な幅広い要素を対象とするのが一般的です。ただし、名称や対象範囲には企業によって違いがあり、ブランドデザインマニュアルという名称で幅広いルールを扱う場合もあります。

従来はデザイン表現を中心としたマニュアルも多く利用されていました。しかし、WebサイトやSNSをはじめ、ブランドと社会との接点や表現手段が増えたことで、デザインだけを統一するのでは十分ではなくなっています。ブランド独自の価値や世界観を幅広い場面で一貫して伝えるため、包括的なブランドガイドラインの重要性が高まっています。

ビジュアルアイデンティティ(VI)との関係

ブランドガイドラインと関連する言葉に、VI(Visual Identity:ビジュアルアイデンティティ)があります。VIとは、ブランドの理念や価値観、個性などを、ロゴやカラー、フォントといった視覚要素によって表現するものです。

その土台となるのが、企業や商品・サービスを「どのような存在として認識されたいか」と定めるブランドアイデンティティです。VIは、このブランドアイデンティティを視覚的に表現する役割を担います。

一方、ブランドガイドラインは、ブランドアイデンティティやVIを一貫して表現・運用するためのルールをまとめたものです。ロゴやカラーの使用ルールに加え、言葉遣いやコミュニケーション方針などを含む場合もあります。

ブランドガイドラインが必要な理由

ブランドガイドラインには、ブランドの一貫性を保つだけでなく、制作業務を効率化し、ブランド資産を守る役割もあります。

第一に、ブランド表現の一貫性を維持できます。消費者はWebサイトやSNS、広告、店舗など複数のタッチポイントでブランドに接します。媒体や担当者によってデザインや言葉遣いが大きく異なるとブランドとしての統一感が失われます。共通の基準に沿って表現することでブランドを認識しやすくなり、認知度や顧客ロイヤルティの向上にもつながります。

第二に、制作に必要な時間やコストを削減できます。ロゴの余白、使用できるカラー、フォント、写真の選び方などが明確になっていれば、デザイナーや外部パートナーが制作のたびに確認する必要がありません。判断基準を共有できるため、制作や確認作業を効率化できます。

第三に、ブランド資産を保護できます。ロゴの不適切な改変や指定外のカラーの使用、ブランドイメージに合わない表現などが繰り返されると、ブランドに対する印象が損なわれる可能性があります。禁止事項を含めてルールを明文化することで、不適切な使用を防ぎやすくなります。

また、事業規模が拡大すると部署や拠点、外部パートナーなどブランドに関わる人も増加します。ブランドガイドラインを共通基準として活用すれば、組織が拡大した場合でもブランド表現を管理しやすくなります。

デジタル時代に求められるブランドガイドライン

従来のブランドガイドラインは、広告代理店などが制作した数百ページ規模の冊子として管理されるケースもありました。情報量が多い反面、必要なルールを探しにくく、持ち運びや更新にも適していないという課題がありました。

インターネットやSNSの普及に伴い、ブランドと顧客が接する媒体やコミュニケーション手段は大幅に増えています。バナー広告やSNS投稿、動画、営業資料などを短期間で制作する機会も増え、ブランドガイドラインにも検索性や更新性、迅速な情報共有が求められるようになりました。

現在ではPDFなどによるデジタル化が進み、紙の冊子を使用する機会は減っています。ただし、デジタル化するだけでは十分ではありません。必要な情報を担当者がすぐに確認できること、変更されたルールを速やかに共有できること、社内外の関係者が適切に運用できることが重要です。

ブランドガイドラインはルールを作成して終わるものではなく、ブランドや事業、顧客とのタッチポイントの変化に合わせて継続的に更新し、組織全体で活用できる状態を維持する必要があります。

ブランドガイドラインの目的

複数の媒体で一貫したブランドを伝えるイメージ

ブランドガイドラインの主な目的は、ブランドの価値観や世界観を明確にし、社内外の関係者が共通の基準に沿って表現できる状態をつくることです。一貫したブランド体験を提供するだけでなく、ブランドへの理解や信頼を深め、運用の効率化や制作物の品質向上にもつながります。

ブランドの世界観を一貫して伝える

ブランドガイドラインは、企業が発信するあらゆる表現に一貫した世界観を持たせる役割があります。ブランドの理念や価値観、提供価値、ビジュアルの方向性などを整理し、担当者や媒体が変わっても同じブランドイメージを伝えられる状態をつくります。

顧客はWebサイトやSNS、広告、店舗、商品など、さまざまなタッチポイントでブランドに接します。それぞれの場面で一貫したブランドコミュニケーションを続けることで、顧客がブランドらしさを認識しやすくなり、共感や信頼の形成につながります。

また、市場や時代、使用する媒体が変化しても、ブランドの核となる価値まで変える必要はありません。ブランドガイドラインが判断基準として機能することで環境の変化に対応しながら本質的な価値や魅力を維持できます。

デザインや表現のばらつきを防ぐ

ブランド運用には、社内の担当者だけでなく、デザイナーや広告代理店など多くの人が関わります。共通の基準がなければ、ロゴやカラー、フォントの使い方、文章のトーンなどにばらつきが生じる可能性があります。

ブランドガイドラインでは、ロゴの使用方法やブランドカラー、フォント、写真、イラスト、言葉遣いなどについて具体的な基準を定めます。担当者ごとの感覚に依存せず、誰が制作しても一定の品質とブランドイメージを保ちやすくなります。

表現の一貫性を維持することは、ブランドに対する安心感や信頼の形成にも重要です。長期間にわたって統一されたブランド体験を提供することで、ブランドの認知や価値を高め、競合他社との差別化にもつながります。

社内外のブランド理解を統一する

ブランドガイドラインは、社内外の関係者がブランドについて共通認識を持つための基準としても機能します。

社内では、従業員がブランドの理念や価値観、表現方法を理解し、日々の業務で適切に扱える状態を整えることが重要です。ガイドラインの存在を周知するだけでなく、研修や説明会などを通じて目的や考え方を共有することで、ブランドへの理解を深められます。

広告や広報、デザインなどを担当する外部パートナーへの共有も欠かせません。ブランドのイメージ形成に直接関わる制作を外部へ依頼する場合でも、共通の基準があれば認識のずれを防ぎ、適切な表現につなげられます。

特に複数の拠点を持つ企業やグローバルに展開する企業では、多くの関係者がブランド運営に参加します。ブランドガイドラインを共通言語として活用することで、組織や地域をまたいでもブランドイメージを統一しやすくなります。

ブランド運営を効率化し品質を高める

ブランドガイドラインには、ブランド表現に必要な情報やルールが集約されています。制作のたびにロゴの使い方やカラー、表現方法などを確認する必要が減り、社内外の担当者が自ら判断しやすくなります。

例えば、営業資料や広告、Webコンテンツなどを制作する際、判断基準が明確であれば、担当部門への確認や修正の回数を抑えられます。制作時間の短縮だけでなく、アウトプットの品質を安定させる効果も期待できます。

効率的に運用するためには、ガイドラインを作成するだけでなく、利用しやすい環境を整えることも重要です。オンラインで必要な情報を確認できるようにするほか、制作物のチェックやフィードバックの仕組みを設け、適切な使用例や禁止事項を共有する方法があります。外部パートナーとの契約時に遵守事項を明確にすることも、誤った運用を防ぐ手段の1つです。

ブランドガイドラインに基づく一貫した運用を続けることで、顧客との接点ごとにブランドへの信頼を積み重ねられます。ブランドへの認知や共感、信頼が蓄積されれば、企業にとって長期的なブランド資産となり、持続的な競争力を支える基盤になります。

ブランドガイドラインの作成・導入におけるポイント

関係者で情報と運用体制を整理するイメージ

ブランドガイドラインは、必要な情報を網羅するだけでは十分ではありません。情報量が多すぎたり、ルールが複雑だったりすると利用者が内容を理解できず、実際の業務で活用されにくくなります。作成時には情報を分かりやすく整理するとともに、ルールの背景を伝え、継続的に運用できる体制まで整えることが重要です。

5W1Hを基準に情報を整理する

ブランドガイドラインには、ロゴやカラー、フォントをはじめ、多くの情報やルールが含まれます。企業規模が大きくなるほど情報量も増え、特定の部署だけが使用する要素や限られた場面で適用されるルールも発生します。

情報が複雑になると利用者が必要なルールを見つけにくくなります。社内外の関係者が直感的に理解できるようにするには、5W1Hを基準に情報を整理する方法が有効です。

5W1Hを基準にした情報整理
観点 整理する内容
When: いつ使用するのか。
使用する時期や期間、タイミング
Where: どこで使用するのか。
Webサイトや広告、営業資料などの媒体や対象物
Who: 誰が使用するのか。
対象となる部署や担当者、外部パートナー
What: 何を使用するのか。
ロゴ、カラー、フォントなどの要素
Why: なぜ必要なのか。
要素やルールを定めている理由
How: どのように使用するのか。
具体的な使用方法や事例、禁止事項

上記のように5W1Hに沿って整理することで、利用者は自分に関係するルールと適用条件を把握しやすくなります。

ルールの背景や目的まで伝える

ブランドガイドラインを浸透させるには、守るべきルールだけでなく、設定された背景や目的まで伝えることが重要です。

例えば、ブランドロゴの色や形について使用条件だけを示しても、利用者は制限が設けられている理由まで理解できません。企業のミッションやビジョン、ブランドとして大切にする価値観があり、VIの設計を通じてロゴやカラーといった具体的な表現へ落とし込まれています。

ブランドの理念や価値観と個々のルールとの関係が分かれば、利用者は、ルールを単なる制約ではなく、ブランドらしさを守るための基準として理解できます。

ブランドガイドラインを形骸化させないためにも、何を守るのかだけでなく、なぜ守る必要があるのかまで説明し、利用者が納得して判断できる構成にすることが大切です。

継続的に運用できる体制を整える

ブランドガイドラインは、作成して配布するだけでは十分に機能しません。社内への周知や定着を進めるとともに、実際の制作物がガイドラインに沿っているか確認できる体制が必要です。

例えば、広報やマーケティング部門がブランド管理を担当し、広告やWebサイト、営業資料などの制作物を確認する方法があります。制作物が多い企業では、クリエイティブの品質を管理するチームを設け、確認や問い合わせへの対応を一元化する方法もあります。

運用フローについては、誰が確認するのか、どの段階でチェックするのか、判断に迷った場合は誰に問い合わせるのかを明確にしておくことが重要です。

適切な体制は企業規模や組織構造、人的リソースによって異なります。自社の状況に合わせて無理なく継続できる仕組みを構築し、日常業務の中でブランドガイドラインが活用される状態を維持する必要があります。

ブランドガイドラインの作り方

配色や制作物を並べてブランドの表現ルールを整理するイメージ

ブランドガイドラインを作成する際は、最初からロゴやカラーなどの具体的なルールを決めるのではなく、ブランドの現状を把握したうえで、ビジョンやミッションなどの核となる考え方を明確にすることが重要です。その後、ビジュアルと言語表現を設計し、実際の制作や運用で迷わないレベルまで具体的なルールに落とし込みます。

ブランドの現状を把握する

自社ブランドが現在どのように表現されているのかを把握します。既存のロゴ、カラー、フォント、Webサイト、広告、パンフレット、SNSなどの制作物を収集し、ブランド表現の現状を整理します。

調査する際は、主に次の観点から確認します。

  • 一貫性:タッチポイントによってブランド表現に違いがないか
  • 品質:デザインや表現の品質にばらつきがないか
  • ギャップ:目指すブランドイメージと実際の表現に差がないか

経営層、マーケティング部門、デザイン部門、営業部門などへのヒアリングも有効です。異なる立場から意見を集めることで、現状の課題やブランドに求められている役割を把握し、ガイドラインで解決すべき課題を明確にできます。

ビジョンやミッションなどブランドの核を定義する

現状を整理したら、ブランドガイドラインの軸となる考え方を明確にします。

代表的な要素が、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」です。ミッションはブランドが果たす使命、ビジョンは将来実現したい姿、バリューは活動するうえで大切にする価値観を示します。

必要に応じて、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」のほか、顧客に約束する価値を示すブランドプロミスやブランドの個性を表すブランドパーソナリティなども言語化します。すでに策定されている場合は、現在の事業環境や顧客ニーズと合っているかを確認します。

ブランドの核となる考え方が明確であれば、ロゴ、カラー、フォント、写真、言葉遣いなどについても一貫した基準で設計できます。反対に、ブランドの方向性が曖昧なまま見た目だけを整えると個別のルールに統一された意図を持たせることが難しくなります。

ロゴやカラーなどのビジュアル要素を設計する

ブランドの方向性をもとに、ロゴ、カラーパレット、フォント、写真、イラスト、グラフィックなどのビジュアル要素を設計し、VIとして一貫性を持たせます。既存の要素がある場合は、必要に応じて見直します。

ロゴについては、カラーバリエーション、配置方法、最小サイズ、周囲に確保する余白、背景とのコントラストなどを規定します。変形や指定外の色への変更、視認性の低い背景への配置など、使用を禁止する例も具体的に示します。

ブランドカラーは、メインカラー、サブカラー、アクセントカラーなどに分け、RGBやCMYK※など媒体に応じたカラーコードを設定します。フォントについても、メインフォントと代替フォントを定め、必要に応じて文字サイズや行間、字間などの基準を設けます。

写真やイラストでは、色合い、明るさ、構図、被写体、テイストなどを具体的に定めます。広告やWebサイト、SNS、カタログなど異なる媒体で使用した場合も、同じブランドだと認識できるビジュアルを目指すことが重要です。

設計段階では、デザイナーやクリエイティブディレクターなどの専門家が関わり、複数のタッチポイントで実際に使用した場合を想定しながら検証します。

※RGB:画面で色を表現する方法
赤(R)・緑(G)・青(B)の「光」を組み合わせて色を作ります。スマートフォンやパソコンの画面などに使われ、光を重ねるほど明るくなり、3色を最大にすると白になります。

※CMYK:印刷で色を表現する方法
シアン(C・水色系)・マゼンタ(M・赤紫系)・イエロー(Y・黄色)・ブラック(K・黒)の「インク」を組み合わせて色を作ります。カタログやチラシなどの印刷に使われます。

ブランドメッセージとトーン&マナーを設定する

ブランドの一貫性を保つためには、VIによる視覚表現の統一に加えて、言語表現についてもルールを設定することが重要です。

ブランドメッセージでは、ブランドが顧客や社会にどのような価値を提供するのかを明確にします。トーン&マナーでは、メッセージをどのような言葉遣いや温度感で伝えるのかを定めます。

例えば、専門性が求められるBtoB企業では、専門的な内容を正確かつわかりやすく説明することが基準の1つになります。親しみやすさを重視するBtoCブランドでは、ターゲットに合わせた分かりやすく共感を得やすい表現が適している場合があります。

ブランドボイス、文章の書き方、使用する用語なども必要に応じて規定します。広告、SNS、Webサイト、接客など、顧客との接点が変わってもブランドとしての基本的な姿勢を統一することが重要です。

実際の運用では、抽象的な説明だけでは判断が難しいケースもあります。推奨する表現と避けるべき表現を具体例として掲載しておくと、担当者や外部パートナーが適切な表現を判断しやすくなります。

ブランドガイドラインの構成内容

ブランドガイドラインの構成要素を整理したイメージ

ブランドガイドラインに含める内容は企業やブランドによって異なりますが、ブランドの理念や価値観を示す要素と実際の制作やコミュニケーションで使用する具体的なルールで構成するのが一般的です。ロゴやカラーだけでなく、フォント、写真、文章表現、レイアウトなどについても基準を定めることで、さまざまな媒体で一貫したブランド表現を実現できます。

ブランドの基本理念

ブランドガイドラインの冒頭では、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」など、ブランドの存在意義や目指す方向性、価値観を整理して掲載します。

こうした基本理念を最初に示しておくことで、その後に続くロゴやカラー、フォント、写真、言葉遣いなどのルールが、どのような考え方に基づいて設計されているのかを理解しやすくなります。

必要に応じて、ブランドプロミスやブランドパーソナリティなども盛り込み、デザインやコミュニケーション全体の判断軸が伝わる構成にします。

ロゴの使用ルール

ロゴはブランドを視覚的に識別するための重要な要素です。媒体や制作者が変わっても適切に表示されるよう、使用方法を具体的に規定します。

主な項目には、フルカラーやモノクロ、横型・縦型、アイコンなどのバリエーション、視認性を確保するための最小サイズ、ロゴ周囲に設ける余白などがあります。背景色に応じて使用できるロゴの種類についても定めます。

変形や回転、指定外の色への変更、不適切な背景との組み合わせなど、禁止事項も具体例とともに掲載します。正しい使用例と禁止例を視覚的に比較できるようにすると、利用者が判断しやすくなります。

ブランドカラーの設定

ブランドカラーは、ブランドの印象や認知に関わる重要な視覚要素です。ブランドを象徴するメインカラーを中心に、補助的に使用するサブカラーや特定の用途で使用するアクセントカラーなどを設定します。

Webサイトや印刷物など、使用する媒体ごとの色の再現方法に合わせて、色を数値や記号で指定します。ブランドガイドラインでは、画面表示用のRGB値やHEX表記、印刷用のCMYK値などを明記するのが一般的です。ただし、画面や用紙、印刷条件によって見え方が変わるため、数値の指定に加えて実際の仕上がりを確認することも重要です。

また、各カラーを使用する場面や組み合わせ、推奨する使用比率などを設定する場合もあります。色そのものを指定するだけでなく、どのように組み合わせて使用するのかまで示すことで、媒体を問わず統一されたブランドイメージを表現しやすくなります。

フォントとタイポグラフィのルール

フォントやタイポグラフィは、ブランドの印象だけでなく、情報の読みやすさにも影響します。ブランドガイドラインでは、見出しや本文などで使用するフォントを指定し、文字表現を統一します。

見出し用と本文用のフォント、ウェイト、サイズなどを定めるほか、指定フォントが使用できない環境を想定した代替フォントも設定します。Webと印刷物で異なるフォントを使用する場合は、それぞれのルールを明確にします。

必要に応じて行間や字間なども規定し、視認性や可読性を確保します。Webサイトの見出しであれば、見出しの階層ごとにサイズやウェイトを設定するなど、実際の制作で判断できる具体性が重要です。

写真・イラスト・アイコンの選定基準

写真やイラストなどのビジュアルコンテンツも、ブランドの世界観を左右する要素です。使用する素材によって印象が大きく変わるため、選定や制作の基準を設定します。

写真では、明るさや色調、構図、被写体の選び方などを規定します。人物写真を使用する場合は、人物の写し方や表情、シチュエーションなどについて基準を設ける場合もあります。フィルターや色補正など、レタッチの方向性も対象です。

イラストについては、線画やフラットデザイン、3Dなど基本となるスタイルを統一します。アイコンについても、線の太さ、角の形状、塗りの有無などを定めます。

ブランドイメージに合わない写真やイラストの例も示しておくと、広告やWebサイト、SNSなど幅広い媒体でビジュアルの一貫性を維持しやすくなります。

言葉づかいや表現の方針(トーン&ボイス)

ブランドガイドラインでは、視覚的な表現だけでなく、文章や会話におけるブランドの人格も定義します。広告、Webサイト、SNS、接客などで発信する言葉の印象を統一するための基準です。

例えば、フォーマルかカジュアルか、専門的か平易かといった軸から、ブランドに適したコミュニケーションの方向性を設定します。ブランドを人に例えた場合の性格をブランドパーソナリティとして整理する方法もあります。

推奨する言葉と避ける言葉、敬体・常体の使い分け、数字や記号の表記方法、文章の書き方などを規定します。実際の文章例を掲載しておくと、担当者が変わった場合でもブランドとして一貫したコミュニケーションを行いやすくなります。

レイアウトと各種制作物への展開ルール

ブランドの視覚的な統一感を維持するには、個々のデザイン要素だけでなく、組み合わせ方についても基準が必要です。Webサイトや印刷物などで使用するグリッド、余白、画像とテキストの配置などを規定します。

例えば、コンテンツを配置する位置や幅、要素同士の間隔などについてルールをもうけることで、異なる制作物でも共通したレイアウトを実現しやすくなります。

実際の用途を想定したアプリケーションの展開例を掲載する方法もあります。名刺、封筒、レターヘッド、会社案内、パンフレット、Webサイト、プレゼンテーション資料、SNS投稿などについてテンプレートや制作例を示します。

個別のルールだけでは判断しにくい場合でも、完成形に近い具体例があれば、ブランド要素をどのように組み合わせるのかを理解しやすくなります。制作担当者や外部パートナーがブランドの世界観を再現するための実践的な基準として活用できます。

ブランドガイドラインの運用・更新のポイント

ガイドラインを共有して更新するイメージ

ブランドガイドラインは、一度作成して終わりではありません。事業環境や顧客とのタッチポイントが変化するなかで一貫したブランド表現を維持するには、定期的な見直しと適切な管理が必要です。また、現場で無理なく活用できるルール設計や管理体制を整え、継続的に運用することが重要です。

定期的に内容を見直して更新する

ブランドガイドラインは、事業や市場の変化に合わせて定期的に見直します。年1回や半年に1回など、自社の状況に応じてレビューのタイミングを決め、管理責任者を明確にしておくことが重要です。

レビューでは、主に次の点を確認します。

  • 新しいSNSやサービスなど、新たなタッチポイントへの対応が必要か
  • ガイドラインに記載がなく、現場で判断に迷うケースが増えていないか
  • 競合環境や事業戦略の変化に伴い、ブランドの位置付けを見直す必要がないか
  • デザインやコミュニケーション手法の変化に対応する必要がないか

広報やマーケティング、デザインなどの関連部門に加え、必要に応じて社外パートナーからも意見を集めます。実際の運用で生じている課題を把握し、必要なルールや事例を追加することで、実務で活用しやすい状態を維持できます。

デジタル化して最新版を一元管理する

ブランドガイドラインを更新しても、古いバージョンが使われ続けては意味がありません。紙やPDFを個別に配布すると複数のバージョンが混在しやすいため、最新版を一元管理できる環境を整えることが重要です。

例えば、FigmaやNotionなどのツールを利用すれば、関係者が同じ情報にアクセスしやすくなり、更新内容も速やかに共有できます。

特にデザインツールでは、カラーやフォント、コンポーネントなどをライブラリとして管理できます。ガイドラインを参照するだけでなく、登録されたデザイン要素を制作時に直接利用できるため、作業の効率化や誤用の防止にもつながります。

必須ルールと推奨ルールを分ける

ブランドガイドラインは、細かく規定するほど使いやすくなるとは限りません。ルールが厳格すぎると新しい媒体や表現方法への対応が難しくなり、反対に曖昧すぎると担当者ごとに判断が異なります。

運用しやすくするためには、必ず守るルールと状況に応じて判断できる推奨ルールを分ける方法が有効です。

例えば、ロゴの変形禁止やブランドを象徴するカラーの指定など、ブランドの識別性に大きく影響する項目は必須ルールとします。写真の加工方法やレイアウトの細部などは推奨ルールとし、一定の範囲で担当者が判断できるようにします。

ブランドガイドライン策定でよくある失敗と対策

関係者が制作物を確認して課題を改善するイメージ

ブランドガイドラインが十分に活用されない原因は、ルールの内容だけにあるとは限りません。経営層や現場を巻き込まずに策定すると、企業の方針や実際の業務と合わないガイドラインになる可能性があります。策定段階から関係者の意見を取り入れ、組織全体で活用できる内容にすることが重要です。

経営層が策定に関与していない

ブランドガイドラインは、デザイン部門だけで決めるものではありません。ブランドの理念や提供価値、目指す方向性などを具体的な表現へ落とし込むものであり、経営戦略とも密接に関係します。

経営層が策定に関与していない場合、企業として目指す方向性とブランド表現にずれが生じる可能性があります。また、デザイン部門だけで決めたルールと捉えられ、全社的な理解や協力を得にくくなることも考えられます。

策定プロジェクトの初期段階から経営層が参加し、ミッションやビジョン、提供価値など、ブランドの核となる部分の意思決定に関与することが重要です。経営方針とブランド表現を結び付けることで、全社で共有できるガイドラインを策定しやすくなります。

現場の実務を考慮していない

理想的なブランド表現を定義しても、実際の業務で利用しにくければガイドラインは定着しません。現場で頻繁に発生するケースへの対応方法が記載されていなければ、担当者が個別に判断することになり、ブランド表現にもばらつきが生じます。

策定段階では、マーケティング、営業、人事、広報、デザインなど、実際にガイドラインを利用する部門へのヒアリングを行います。扱っている制作物や判断に迷いやすい場面、現在のブランド運用で生じている課題などを確認することが重要です。

現場で発生する具体的なケースを踏まえてルールや使用例を設計することで、実務で参照しやすく、継続して利用されるガイドラインになります。

まとめ

ガイドラインをさまざまな制作物へ展開するイメージ

ブランドガイドラインは、ロゴやカラーなどのデザインを統一するだけでなく、ブランドの理念や価値観を社内外で共有し、一貫したブランド体験を提供するための基準です。ブランドの基本理念からロゴ、カラー、フォント、写真、文章表現、レイアウトまで具体的なルールを定めることで、担当者や媒体が変わってもブランドらしさを維持しやすくなります。

策定する際は経営層だけでなく実際に利用する現場の意見も取り入れ、必要な情報を分かりやすく整理することが重要です。また、策定後も事業環境や媒体の変化に応じて内容を見直し、最新版を利用できる環境を整える必要があります。ブランドの一貫性と現場での使いやすさを両立させ、継続的に活用できる仕組みを構築することが、ブランド価値を長期的に維持・向上させるうえで重要です。

ブランドガイドラインに沿った制作物の展開や、ビジュアルアイデンティティ(VI)の制作はエデュプレスへご相談ください

ブランドガイドラインを日々の業務で活用するには、定めたルールをカタログやフライヤー、Webバナーなどの制作物に具体的に反映していくことが大切です。その際、ブランドらしさを保ちながら、媒体のサイズや使用する言語、読みやすさに合わせて、デザインやレイアウトを調整する必要があります。

エデュプレスでは、ブランドガイドラインに沿った各種制作物の展開を支援しています。その一例が、外資系企業の海外本社で作成されたビジュアルアイデンティティ(VI)マニュアルやテンプレートをもとにした、日本向けの制作です。

日本版のカタログ、フライヤー、チラシ、イベント用ブース、バナー、ノベルティなどの制作に対応しています。海外で一般的なレターサイズや横型のデザインをA4縦型へ調整するなど、日本で利用しやすい仕様へのローカライズも可能です。

ビジュアルアイデンティティ(VI)マニュアルに規定されていない日本独自の要素についても、既存のブランド表現との整合性を保ちながら、デザインやレイアウトを行います。英語フォントのみが指定されている場合には、デザインとの相性を考慮した日本語フォントの提案にも対応しています。

また、海外本社のルールに沿った日本向け制作に加え、国内企業のビジュアルアイデンティティ(VI)制作も支援しています。ブランドのルールを実際の制作物へ展開したい場合や、ビジュアルアイデンティティ(VI)の制作・見直しを検討している場合は、エデュプレスへご相談ください。

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